あいだにあるもの

★★★ We are all ONE with the LOVE in the Universe ★★★

ghosts in the garden kd

何もしない時間をゆっくり取って、じっと耳を傾けたくなるアルバムに出逢えたのは本当に久しぶり。

毎日がなんとなく慌ただしく、追われるように時間がすぎると感じている昨今なのだけど。インターネットとスマートフォンの時代に入ってから、次第にそんな風になってきたと思っている人は多いのではないかな。

アメリカ東部でもコロナウィルスが深刻に蔓延し、必要な買い物と犬の散歩以外は出来るだけ外出を避けるようにと指示が出ていた2020年。Krisは自宅キッチンなどで以前に出したアルバム全曲の弾き語りライブを配信したりしていた。そのおかげで、彼女と夫 Jeffrey Foucault の日常の風景が以前よりもイメージしやすくなったりして、歌の聴こえ方にも多少の変化があり、ふむ、それはそれで良いこともあるのだな、なんて思ったりしていた。

そんな2020年、彼女の初期ソロアルバムのプロデューサーで、バンドのドラマーでもあった Billy Conway が癌を患って療養中とのことで、「少しでも医療費の足しになるように彼のアルバムを買ってね」とクリスが自らのソーシャルメディアで宣伝のお手伝いをしていたアルバム "Inside Outside" が届き、パッケージにBillyの奥さんでシンガーのLaurieからのメッセージと二人のサインが鉛筆で書かれたメモが入っていた。この "Inside Outside" は、2000年代に入ってからではマイ・ベストのひとつになるアルバムで、この鉛筆書きのメモといっしょに僕の宝物となった。

billy

が、悲しいかな、一時は完治したかと思われたBillyの癌に転移が見つかり、2021年の終わりに亡くなってしまう。Krisはそもそも文章を書く人でもあり、彼女のアーティストとしての方向付けから関わったBillyという仲間の存在が彼女にとってかなり大きかったこともあって、この日の投稿もインスタグラムの文字制限に入り切らない長さで、"Billy left the world the way he lived in it: with generosity and humor, and surrounded by love, showing us all how it’s done, just like always. There aren’t enough tears to cry, and not enough stars in the sky to thank." と、美しい言葉で締めくくっている。

billy2

この投稿の最後の写真。彼女がBillyと二人で歩いている後ろ姿が映っているこの場所が家の裏庭らしいんだが、Billyの療養中から死別に至る過程で彼女のイマジネーションに入って来たアイデアを曲にして書きためていたことや、アルバムを発表してフルバンドでのコンサートツアーに出る準備をしていたことは、投稿の様子から何となく伝わってきていた。

僕も個人的に、ここ5、6年のあいだに友人やお世話になった大好きなミュージシャンの先輩との死別があり、人の生き死にのことで、Krisの書く文章を読むたびに共感できる部分を見つけていた。数は減ったけれど、好きになったアーティストや作家への「好き」の情熱とその度合いは、相変わらず生来の強さを失っていない。ただ、その痛みに正面から向き合うのは結構しんどいことなので、日常的には些細な楽しいことを見つけて日々を何とかやりすごしている。

そんなところにこの新作アルバム発表の知らせが届いた。昨年12月の初めだった。そのアルバムタイトルが "GHOSTS IN THE GARDEN" だと知り、ああ、いよいよ仕上がったんだなと、アルバム制作の過程でクリスが通過したであろう様々な痛みに想いを寄せ、大きな期待を抱いて彼女のホームページから予約注文をした。

BandCampで予約するとアーティストにメッセージを送れる仕組みになっていたので、Laurieから手書きのメッセージをもらったこと、そこに「私たちがこのアルバムを作った喜びと同じだけの喜びをあなたと共有できたらうれしい」と書いてくれたことへのお礼を伝えたいと思っていたのだけど、僕にはLaurieと連絡を取るすべがないので、アルバムは最高に気に入って聴いていますと伝えてほしい、と簡単に書き込んで送信した。

僕が送ったメッセージを、たぶん「へえ」と思って読んでくれたのだろうと思う。

wolves

アルバムは思いのほか早く届いた。米国での発売日から一週間もたっていなかったと思う。通常からすると考えにくいほど早い。気をきかせて早めに発送してくれたのかもしれない。このカードが2枚、ジャケットの中に入っていた。

2曲目の "Wolves" という歌とシンクロしている絵。

出だし1曲目の "Summer's Growing Old" から2曲目の "Wolves"、そして3曲目タイトルトラック "Ghosts In The Garden" ここの静かで強く魂を揺さぶる流れ、これを作り込むのはそうとうな痛みを伴ったことだろうと想像する。アルバム発表前にはインターネット等に載せていない出だしの3曲。

Krisの軽やかで明るさのある声質、決して歌い込まないアーティストとしての持ち味が、ヘヴィーな歌の内容と見事にバランスしている。決して小さくなかった期待を大幅に上回る仕上がり。

4曲目には珍しくロックな疾走感を聴かせる "Won't Be Long"、そして多くの人が共感するだろう "Not The Only One" が5曲目。こんな風に、玄関の掃除や、毎日の買い物、近所づきあいで交わす言葉、犬の散歩、キッチンの片づけ、人知れず流した涙のことを曲にして、何ひとつ奇をてらうことなく、こんなにさり気なく風のように歌ってくれるシンガーは僕にはなかなかいないんだよ。

でも、アメリカでもローカルなファンが中心で、そう多くの人が聴いているわけじゃない。アルバム発売に合わせたツアーも、フルバンドで3月半ばから4月にかけて西海岸にも行くけれど、バーラウンジや小さめのコンサート会場を回っている。

たぶん、そういう在り方が性に合っているんだろうと思う。

インディーズ系のアルバムレビューではとても良い評価だ。そりゃそうだろう。これだけ魂の入ったアルバムを作って出してくれるアーティストが2025年に存在するってだけで有難い思いだ。「もうすぐチケット売り切れ!」と告知に書いていた。それを聞けて嬉しい。

いちばん新しい投稿に "Truthfully it felt pretty vulnerable releasing this one - it’s a bit of a heavy record in its way, leans slow, leans emotional, deals with big grownup shit. I’ve had ongoing jokes with my little team about how the world was probably not *clamoring* for an album about grief and irrevocable change by a woman in her 50’s 😂" と謙虚な言葉を書いている。そうか、Krisは50代に入ったのか。

20代の後半に出したファースト以降、テイストの合わないのが一枚だけあるけど、それ以外すべていつの間にか愛聴盤になっている。で、ここ最近の2, 3作品は、やっぱり年齢と共に円熟味と深みが増して本当に良い。

今作は、21世紀に入ってから出たアルバムで僕のベスト。「次は少し軽めのを出します、実はもう出来てるから」へえ、そうなんだ。そういえば、カーズのフルカバーアルバムも軽くて楽しくて今でもたまに気分よく聴きます。次作も楽しみだな。

vagabonds, virgins & misfitsTom Petty & The Heartbreakersのギタリスト、マイク・キャンベルが、自身のバンド"Mike Campbell & The Dirty Knobs"で2024年6月に発売した新作。入荷に2ヶ月もかかり、8月下旬にやっと到着。

先に公開されていた "Dare To Dreams" のPVが、わざわざ "Tulsa, Oklahoma" というキャプションから始まるのは、Tom Petty & The Heartbreakersが最初期に契約したシェルター・レコードと関係してるのかな?と思ったけれど、どうも答えは見当たらなかった。PV冒頭に"Directed by"で出てくるChris Phelpsという人はフォトグラファーとしてクレジットされている。

タルサの住人なのかな?

これで3作目になるThe Dirty Knobs、ぼくは個人的にいちばんよく出来ているとおもった。好みの問題かもしれないけれど、1作目はB級ライブバンド的な軽快さがあって、聴きやすいんだが若干あっさりしているようにも感じた。2作目はもう少しハードな曲が多く、ギターバンドのロックをたっぷり聴かせるような仕上がりを感じたけれど、やや "Dirty Knobsらしさ" を前面に出そうとしすぎているようにも聴こえた。

この3作目は、ぼくの感じとしては、Heartbreakersで長年聴いてきたMike Campbellが、3作の中ではいちばん素直に鳴っているように聴こえます。

dare to dream
Dare To Dream - Mike Campbell & The Dirty Knobs


インタビュー動画で、「グラハム・ナッシュからコーラスで参加しようかとオファーがあったので、歌を入れた音を送ったら(クラウド上でのデータのやり取りってことかな)コーラス録音したよ、と。で、聴いてみたら桁違いに良くなってた。」わかる(笑)あの人たちってそうなんだろうな。

PVでは、以前インタビュー動画で「これはブルースを弾く用の」と紹介していたテレキャスターを弾いている。録音された音がそのテレキャスの音かどうかは分からないけれど、この曲も、その他の曲も、ギターはそれぞれにとても良い音で鳴ってます。Mike Campbellがどれほどのギタリストかを思えば当然なんだけど、バンドのロックとして、はみ出す所は存分にはみ出して弾き倒す曲もあるし、6弦、12弦、アコースティック、スライド等々、いくつもの種類の音がほんとうに良い音で鳴っています。

こんなことを書いても、まずこのアルバムを買う人は相当もの好きか往年のTP & The HBファンだろうし、検索してここに辿り着いて、これを読んで買ってみようと思う人はまずいないと思うけど、まあ、一人でもそんな人がいてくれたら嬉しいな。ちなみに、Lucinda Williamsも一曲、ハーモニーをつけるだけでなくリードVo.の2番を歌っていて良い存在感。

アルバムの出だしが、ライブアリーナの歓声から始まってくるんだ、、わくわくしますよ!(笑)


さて、"Dare to 〜" は「敢えて〜する」というような雰囲気で、"These are the best of time / This is the good life / And all you dare to dream can come ture" というのが、やや不穏な歌メロからメジャーのルートに戻って一気に気持ちよく展開するサビの歌詞。「勇気を持って敢えて見た夢はすべて実現できるんだよ」と。古希を超えた男がさらりと歌うから良いんだよね。

勇気を持って敢えて見た夢はすべて実現できるんだよ、と。


ぼくの夢は、いちばん究極的な夢はなにだろう、と帰り道にこれを聴きながら考えた。

世界人類の平和、地球上のすべての人間同士が、まずは集団で殺し合ったりはしない、という一致した考えに至るということ。

それ以外、考えつかないんですよね。それがもしも滑稽な話に、あるいはお気楽な夢想家、社会に不適合な者の発想にしか聞こえないとしたら、どこかがおかしい、何かが間違っている。「戦争を止めるには」や、「戦争起こさないためには」って話ではなくて、大多数がもっと積極的に「平和とは」を話し合い始めるのが良いね。

そうおもいます。


microjoys些細なことに日々の喜びをかんじてみる。

「アラームが鳴る5分前に気持ち良く起きた」とか、
「コーヒーを美味しく淹れられた」とか、
「クルマのBGMがバッチリだった」とか、
「風に吹かれて気持ちよかった」とか、
ほんの些細なこと。

なんでも良いんです。

匂いとか、味とか、肌の感触とか、
そういう「五感」でかんじることが良いみたい。

これは、心の在り方がどうこう、とか
マインドフルネスが云々、
とかって、そういう話じゃなくて

わりと「反復練習」とか「鍛錬」
みたいな類のことです。

100%著者シンディの受け売りだけど。
良いですよ。

Microjoys: Finding hope (especially) when life is not okay.
Cyndie Spiegel

2年半もほったらかしてしまった。
このタイトルは変わらず真ん中にありまして

書くのやめちゃたつもりはないんです。
お休み、ていうか放置してました。

今年は、日記を書いてます。日誌かな?
ボールペンで、手書き。
誰に見せるでもなく、毎日ってわけでもなく。

気に留めておきたいことがあり次第。
けっこう書いちゃってます。
手書き、いいですよ。

今年も最後の授業が無事おわった。
明日は冬至。折り返して日が伸びていきます。

「難しいことを、易しく楽しく教えてくれてありがとう」

こういうコメントを頂くと、
月まで行って帰ってくるほどうれしい。

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"Outside Inside" In memory of Billy Conway 12/18/1956-12/19/2021





A year ago we stood in a circle around Billy’s bed and sang him Happy Birthday, after which he said “Who could ask for a better birthday?” Given that he was on his actual deathbed, he could have been forgiven for meaning this ironically, and there were certainly a few rueful snorts from the circle. But somehow, despite everything, he meant it, which was about the Billyest thing ever. No one I know worked more resolutely to cultivate gratitude than Bill, and no one could have stuck harder to that resolution when the shit really hit the fan.



A few months after he died, some of that same group gathered to record some of his many songs. We did it for ourselves really, to be in grief and love and music together, regardless of outcome. But the recordings turned out able to stand on their own, and we’re starting the process of sharing them today, in the spirit of gratitude for Billy, and the songs he left us, and the circle.

Kris Delmhorst Instagram: 
https://www.instagram.com/reel/CmUA0DvAo--/?utm_source=ig_web_copy_link

最高のドラマー、
朴訥として味わい深い歌い手、ソングライター。
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Billy Conwayが亡くなって早一年。
"FURTHER ON - THE SONGS OF BILLY CONWAY"
1月に発売になります。
また高い送料をかけて$25で予約注文。
前回 "Outside Inside" のときは
ヴォーカルのLaurieからの、
「デスクの上にあったメモ用紙」
みたいなのに鉛筆で走り書きされたメッセージに
Billyのサインが添えられたのが入ってた。
勿論そのままテーブルに放ってあります(笑)
https://www.songsofbillyconway.com/album


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二階の部屋の窓から見える風景は
まったくどうってことない眺めなんだけど、
この季節は夜明けを見ることが多くて。

真っ暗な夜の端っこが少しずつ
赤くなってじわっと明けてくる時間は
毎度、ああ、と声が出てしまうほどきれい。

去年の12月の半ば、
よし、ひとまず来年の冬至まで一年間
そこをひとつの目標にと始めた今年。

思ったよりずっと急な流れの変化、
次々と訪れる新しい状況。
日々判断ごとの連続に
上塗りで起きてくる予期せぬ出来事。

諸々、悶絶して格闘してるあいだに
気づいたら無事、冬至が過ぎてた。
ひとまず目標達成。
長かったような、あっという間だったような。

これほどいろんな種類のネタが
一年の中で重なった年はめずらしい。
たいへん勉強になりました。感謝。

ストレスレベルの高かった秋頃からこの12月
若干キレたのは不徳の致すところでしたが
同時に頭の回転もキレッキレで

(笑)

ものごとの理解というのはタマネギのようだ
ってことに気がついた。

本で読んだり、人から教えてもらって理解したことは
ひとまず外側の茶色い皮にとどまっている。
経験したり失敗したりする中で自ら気づき得心したことは
タマネギの内側の、奥の方に入り込んでいく。

ここまではまあ、ありそうな話だわね。

さて、それらを教えたり指導したりしていると
理解はどんどん芯の方に向かって行き、
あれれっ?

そこにあったと思っていたそのことは
小さな小さな芯のところで
ふっ、と消えて、見えなくなっちゃうのだ。

大発見である。(笑)




中野督夫 輪 b

しばらくブログを放ったらかしてしまった。

何となく言葉にしてしまうのが悲しいような
きっと見抜かれていそうで気恥ずかしいような
混ぜこぜな気分が続いていて、

でも、次に音楽の話題に触れるなら
必ずここから書かなくちゃないけない
と、なぜかそう強く信じていたので
結局なかなか書けずにテニスにかまけていた。

センチの督夫さんが亡くなったあと
いろんなことを思い出していたんだが、
今日ふと、清志郎の「夢助」を聴いていて
そういえば清志郎が亡くなったあと
督夫さんライブで「清志郎ありがとー!」と
叫んでいたなあと考えていた。

夢助

清志郎とトックンは
ぜんぜん違うタイプの歌い手だし
接点があったのかどうかも僕は良く知らないし
やってることの雰囲気もまったく違ってたけど

督夫さんのソロライブの前座をやったとき
アメリカ人の友人が数名見に来てくれて
日本語ひとカケラも分からないのに
あのトックンの喋りと弾き語りに大笑いしてて

週明けに会ったとき、
"It was fun! He's a great singer, and he's just hilarious!"
めっちゃ楽しかった、彼はすばらしいシンガーね
面白くて大笑いしちゃった!
と言っていたことなどを思い出し。

そういえば清志郎の歌を
日本語まったくわからないアメリカ人の友達に聴かせたら
ほぼ正確に意味をかんじとったことがあったなと。

中野督夫 輪 a

センチのファーストを好きになって
よく聴いていた高校1年の頃から
ずっと思っていたんだけど

督夫さんの日本語の音の扱い方には
言葉の意味以外のところで
何かを感じさせる独特な「何か」があって

その「何か」は
晩年のソロアルバムに至るまでずっとあって

ぼくはその言葉の扱い方に
実はものすごく影響を受けていたように思う。

アメリカの音楽にめっぽう入れ込みながら
自分が日常で話してる日本語の世界を散策し、
そのリズムや、言葉の中にあるメロディや、
音楽に乗せて言葉を繰り出すこと「そのもの」が持っている
チカラだとか、しあわせなかんじだとかを
いつもユーモアと一緒にアウトプットする

そんなところ、清志郎と質感はぜんぜん違うんだけど
もしかしたら相通じるところが
あったのかも知れないなあ、なんて。

そのことについて話したかったな。
その話は一度もできなかった。
すぐ冗談言って飲んで酔っ払っちゃうからね。

トクさんが中学、高校の頃に読んでいたらしい、
日に焼けた堀口大學訳の訳詩集の文庫本を
先日、見せてもらった。
ページの中の、ひっかかった言葉に
線が入れられ、メモ書きの言葉が乱雑に書いてあった。

ぼくもよく似たことをしてた。中学3年や高校1年の頃。

「ユージいっぺん歌いっしょに作ってみるか?」

そう言ってもらったときの声のかんじや
自分の気持ちを思い出すとしあわせになる。


誇り高く生きようと、再びおもう。


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